薄明光線

エッセイテイストな読み物。週一くらいの頻度で更新します。僕の話、時々僕ではない誰かの話。ささやかな楽しみにしてもらえたら幸いです。

此処ではない何処かへ

今の家に引っ越してから3年が経った。

テレビすら無かった部屋には、無名メーカーではあるが大きなテレビに加えて、最新のゲーム機が2台置かれ、空間から放たれる空気感は生活感の有る無しを通り越して、"定着"していた。

 


ここでの生活をしっかり築き、多くの物に囲まれるほどしっかりと収支を安定させたのは褒めるべきところなのだが、定着が深くなればなるほど、どこかに行かなければいけない感覚も大きくなっていく。

 


部屋の中の物がどんどん溢れていくのに対し、僕自身には何も残っていないように思う。

次にやるべきなのは仕事においてのキャリア形成なのか、家族を作ることなのか、趣味を充実させることなのか、それさえも指針を失っている。

何もやりたい事がないのだ。

気分は余生である。

僕は、親より早死にしないという親孝行の為に死ぬまでの暇つぶしをしている。

これまで良い人間に囲まれている事を自負していながら、自分の人生にここまでの価値しか見出せない事をどうか許してほしい。