薄明光線

エッセイテイストな読み物。週一くらいの頻度で更新します。僕の話、時々僕ではない誰かの話。ささやかな楽しみにしてもらえたら幸いです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

人類はいずれ、ロボットになる。

"トランスヒューマニズム" トランスヒューマニズムは、新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させ、人間の状況を前例のない形で向上させようという思想である。(Wikipedia「トランスヒューマニズム」冒頭を引用) わかりやすいものだと、機械式の…

さよなら、ぼくのなつやすみ。

7月の初め、今年初めての蝉の声を聞いた朝、高知に住む祖父が亡くなったと、母から電話があった。 81歳という、現代では長寿とも短命とも取れない歳だったが、まだ足を悪くしていなかったので、ヒトの一生として程よい長さだったのでは無いかと思う。 年初か…

僕の思う"謝罪"

この歳になって、ヒトとしての間違いに厳しくなったような気がする。大人として自他共に律する事ができるようになったのか、単に頭が堅物になったのかは自分ではわからない。しかし、そう在る方が人間関係が精錬されて行くと思う。失礼をする人は人脈から消…

ノスタルジーに殺されかけた。

実家に向かうために原付を20分ほど走らせると、数年前まで慣れ親しんでいた県道に出た。 新型コロナウイルスでの緊急事態宣言が明けた初日の土曜日、スーパーマーケットの前は夕食の食材を買った帰りであろう多くの家族連れで賑わい、ある家族は初夏の夕暮れ…

ウィズコロナを決めた夜、僕はこうして自粛を過ごした。

2020年5月14日の18時頃、一部都道府県を除き39県の緊急事態宣言の解除が発表された。 これはこの国がコロナが撲滅されるのを待つのではなく、コロナと共に歩むと決めた事を意味する。 緊急事態宣言の中、私の職場も短縮営業、チーム分けシフトとなり稼働日数…

花屋になれば良かったと思う事があるのだ。

花屋の前を通るたびに、"花屋になれば良かった"と思うのだ。割と本気で。顔にも図体にも似合わず。 何故かというと、花屋、特に切花屋に悲しい思いを抱えてくる客はいないだろうと思うのだ。基本、お祝いであったり、何か想いを伝えるためであったりだとか、…

春の散文

この冬に着ていたジャケットが少し暑苦しく感じ始める。この頃の夜風の香りは、桜景色で嗅いだ香りに似ていて、まだ桜が咲くにははやいというのにそれが桜の香りかのように錯覚してしまう。 繁華街では新型コロナウィルスの影響が本当に出ているのか疑ってし…

さらば若かりし日々よ

今の家に引っ越して、つまりは一人暮らしを始めてまる4年が経とうとしている中、近所にある定食屋に初めて赴いた。めちゃくちゃ美味い。以後、休みの度にかかさず出向きブランチをそこで取っている。ついで2、3日前、自宅マンションのエントランスを出てすぐ…