薄明光線

エッセイテイストな読み物。週一くらいの頻度で更新します。僕の話、時々僕ではない誰かの話。ささやかな楽しみにしてもらえたら幸いです。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

家(うち)に帰ろう

小学生の時に母から言われていた門限は"暗くなるまで"と、とても曖昧だった。 冬が迫り陽が落ちるのが急に早まるこの季節は、頃合いを読み違えて深夜と変わらぬような暗い道を帰らねばならない事があった。まだ10歳やそこらの頃だ。そんな時は不安な気持ちや…

【3】ライク・ア・ローリングストーン

(「ライク・ア・ローリングストーン」は続き物として書いている為、「【1】ライク・ア・ローリングストーン」から読む事をオススメ致します。) 7月が終わるまでは毎日小学生グループが引っ切り無しにやってくるので、似たようなルーティンが続いた。 ホテル…

【2】ライク・ア・ローリングストーン

(「ライク・ア・ローリングストーン」は続き物として書いている為、「【1】ライク・ア・ローリングストーン」から読む事をオススメ致します。) 初日の仕事は早朝6時に離れのキャンプ場で開始だった。 キャンプセンターと呼ばれる、来客の受付や備品の貸し出…

Don't stop me now

売れないバンドマンでフリーターだった頃、友人の運転で当時つるんでいた友人グループを乗せて深夜から朝日が出るまで何度も車を転がした。 ただ車輪を転がしているだけなのに、室内でただ座って話すよりも何故か会話が弾む。ドライブとは不思議だ。 カース…

【1】眠れない夜に

ひとりの男の部屋に上がり込むひとりの少女。付き合うという言葉でふたりを結びつける事のないまま関係が始まった。 ふたりは体を重ねる事なく初めは友達として、泊まるというよりは寝ずに居座り続ける日々で、曖昧に曖昧に関係は深まった。 2本並んだ歯ブラ…

大人になんてなりたくなかった。

大人になんてなりたくなかった。 だからせめて好きな事をして生きていきたいと考え、将来の夢は漫画家やらミュージシャンやら具体性に欠けるものばかりであった。 しかし、今思うと私は大人になりたかったわけではないのだろうと思う。 酒で人格の変わる父と…