薄明光線

エッセイテイストな読み物。週一くらいの頻度で更新します。僕の話、時々僕ではない誰かの話。ささやかな楽しみにしてもらえたら幸いです。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

10歳の僕と初代プレステ

※noteの方のお題として書いたものをこちらへも転載しています。 初代プレステを手にしたのは、ノストラダムスの大予言なんて言葉が懐かしい1999年、僕が10歳になって間もない春の事だった。 妹が小学校への入学を控える春で、祖父母が妹の学習机を選ぶために…

曇りなき眼で世界を見たい。

人より良い車を持っているだとか、良い女を何人抱いただとか、テメェの住処を地べたとの距離で競い合うこの経済主義の気持ちの悪い物差しに今日も嫌気を感じている。 俺は今夜も、最低限の仕事と、腹を満たすだけの食事をし、ただただ文字を書き連ねている。…

子猫に捧げる愛の詩

数年前、まだ定職にも就かずフラフラしていた頃の事、少しばかり割りの良い仕事に当たって金が余ったもんだから、酒場に入って女の肌を眺めてた。 女の気を引こうと、客の男たちが下手クソな歌を次々歌うもんだから、やかましくて、女達の肌の衰えを誤魔化せ…

無力

以前にも書いた事があると思うのだが、僕は秋口の夜が少し肌寒く感じるこの時期になると舞子の浜辺にサンセットを観に行く。 狙っている気候に近い日が運良く休日と重なったので、陽の光がややオレンジがかり始めた頃に電車へ乗り込んだ。 当時の事を思い出…

タバコの残り香

炙られた葉とメンソールの香りが、鼻を通って肺まで渡り、ジンの酔いで程よく温まった体に馴染んでいく。 僕は普段タバコを吸わない。酒を心地良く飲めた日にだけ嗜む程度だ。仲間内と飲んでいたテラスの席は禁煙席だったようで、店員に灰皿をお願いすると奥…