薄明光線

エッセイテイストな読み物。週一くらいの頻度で更新します。僕の話、時々僕ではない誰かの話。ささやかな楽しみにしてもらえたら幸いです。

時間は何かを解決し得るのか。

3年前からの一人暮らしのきっかけは失恋だった。

心にかなりの深傷を負って、辛さに何かしらの理由を持たせてやる必要があった。

惰性で続けていた職場には退職宣言をし、失恋した一週間後には物件屋で話を聞いていた。

引っ越しの資金はギターなどの持ち物を売って工面した。

 


今となってしまえば、ここまで書いた事も、"あの時ってどうだったかな?"なんて頭の中を掘り返さないと忘れていたような事ばかりだ。"時間が解決した"というやつかもしれない。

 


いくつになっても、大切な人との別れは辛い。これまでのように、そういった辛い気持ちは、時が経ち忘れてゆけるという安堵と同時に、いつかこれが確実に過去のものとなってしまうという切なさも過(よ)ぎる。

 


僕から言わせれば、時間は何も解決してくれない。僕等へ老いと焦りを与え続けるだけだ。いつだって物事に意味を与えてきたのは自分自身の心持ちと行動だ。

 


せめてこの辛さの積み重ねの向こう側で、いつか出会う最後の大切な人を傷つけてしまう回数が一度だけでもいい。減れば良いと思う。