雨に唄えば
音楽専門学校でギターを専攻していた。
その頃の名残からか、30歳近くなった今でも当時好きだったアメリカやイギリスのブルースロックやサザンロックを好んで聴く。
こういった話題は歳の近い同僚や友人達にほとんど理解されない。
同年代から理解され難い趣味趣向であるものを心地良く吸収する事で、自分が日頃社会に居心地の悪さを感じる事を"仕方の無い事"と割り切る事に拍車をかけている。
いわば甘えでもある。
その社会とのズレた感覚から生まれる寂しさを埋めるにはJ-POPでは甘すぎたり軽過ぎたりしてしっくりこない。
何を言ってるかわからない英語、ストラトキャスターのモコモコしたローサウンド、前のめりに来るマイナー調のギターソロが、言葉にする事で具体化したくない寂しさを上からべっとりと優しく塗りつぶしてくれる。
仕事で疲れ果てた帰り道、昼間の雨でしっとり濡れたアスファルトから放たれた石油臭い湿気がまとわりつく嫌な感覚に、それと似た何かを後ろめたくなる感覚が重なった。