薄明光線

エッセイテイストな読み物。週一くらいの頻度で更新します。僕の話、時々僕ではない誰かの話。ささやかな楽しみにしてもらえたら幸いです。

【映画 感想】「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」

此の所の休日は、宛てもなく散歩に出かけて要らぬ出費をするのも癪なので、自宅でビデオオンデマンドを楽しんでいる。

この日はトップ画面に表示されたという気まぐれな理由だけで「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」を観た。何度も観た作品だが、年月を置いてたまに観たくなる作品だ。

 


大まかなあらすじは、戦国時代にタイムスリップしてしまった野原一家。そこで身分の差から結ばれない恋をする春日の国の侍、又兵衛と春日城の妃、廉たちと出会う。野原一家から20世紀の話を聞き、いずれ滅びゆく武士の社会に虚しさを感じた春日のお殿様は大蔵井家からの縁談を断ってしまう。それをきっかけに春日の国と大蔵井家は戦に発展。歴史を変える大戦に巻き込まれていく野原一家の運命やいかに、といったものだ。

 


幼少期はクレヨンしんちゃんばかり観て育った。5歳の設定のしんちゃんが放送開始された頃、僕はまだ3歳だったのだが、今やしんのすけの母、みさえと同じ29歳。近頃は子供目線で観ていた同じ作品を改めて観ると、親目線からの違った感動がある。

 


僕が幼少期だった頃の放送開始すぐのしんちゃんは下品なギャグも多く、一部では敬遠さえされていた。

おもしろいと思うからお尻を出すし、綺麗なお姉さんには鼻の下を伸ばす。おかしい事にはおかしいと言う。下品な面もあるが、子供が故の正直な姿勢は多くの人に魅力的にも映り、時に多くの人の心を打った。

特にこの作品はそういったシーンが多く、たくさんの賞を獲った人気作だった。

 


身分を理由に姫への恋心を認めない又兵衛に、「身分が無かったらどうするの?廉ちゃんに好きって言う?」と問うしんのすけ

戦で分が悪くなり逃げようとする大蔵井の大将に「逃げるのか?逃げるだなんて許さないぞ!」と勇敢に立ち塞がるしんのすけ

幼少期、毎週僕を楽しませてくれたしんのすけは、30歳間近になった今でもずっと、成人した僕が何か理由をつけて物事から逃げていないか、自分の心に素直で在り続けているかを、小さな体で問いかけ、僕の背中を少しだけ鼓舞するのだ。

 


さて、明日からも家族を愛し、日々出会う美しいお姉様方にひっそりと心踊らせつつも、いつも以上に逞しく生き抜いてやるとしよう。